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「自分より辛い人がいる」という思考の罠

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私は高校一年生の頃、そして大学に編入してからの2年間、どちらもかなりの暗黒時代を過ごしていました。
暗黒というのは、誰にも今の状況を相談できず(相談せず)、友達もおらず、どうしていいかわからない毎日を過ごしていました。

そのどちらの時期でも、自分のことを考える際に「自分よりもっと辛い人がいるのだから(頑張らないといけない)」という思考が頭を占めていました。
この思考ですが、状況を悪化させるだけではなくて、自分の置かれている状況を見誤ることになります。

なぜ「自分より辛い人がいる(から頑張らないといけない)」という思考が良くないのかについて今回はつらつらと語ってみたいと思います。

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自分の置かれている状況を見誤る原因になる

私はよく自分のことを奮い立たせるために「自分よりもっと辛い人がいるんだから頑張らないと」と思っていました。

私は、短大から大学へと編入したのですが、そこではカリキュラムの違いに戸惑い、また自分よりできる人が多くいることでそれに対して劣等感を抱いてしまい(色々あり)大学へと通うのが辛くなり休み続けていました。
しかし、そこでは「自分よりもっと辛い人(大学にいけない人・布団から起き上がるのも困難な人などなど)がいるんだから、自分はまだマシだ。頑張らないといけない」と考え、しかし、状況は一向に変わらずという日々でした。

まず、この「自分より辛い人がいるんだから」という考えは、今の自分の状況と向き合わずにがむしゃらに「(理由はないけれど)頑張らないとならない」という間違った答え・行動を導いてしまいます。

なぜ自分の状況と向き合わないことが悪手なのかというと、解決方法がわからなくなってしまうからです。

たとえ話ですが、部屋が散らかっているから片付けないといけないという状況だとしましょう。
その部屋は、鼻かみティッシュ、飲み終わったペットボトル、食べ終わった弁当ガラが床に散らかっています。
クローゼットは着ない服が溢れています。机の上には勝手に投函されていらないチラシもたくさんあります。
また、朝支度で使ったメイク道具、勉強用の技術書なども床に置いてあります。

あなたはこの状況で何をしますか?

まず、掃除機をかけるでしょうか。それはしないでしょう。
なぜなら、床にはメイク道具が置いてあり、そもそもティッシュやペットボトルなどで掃除機をかける場所がまず無いということに気づくでしょう。

この例え話ですが、「(理由がないけれど)頑張らないといけない」ということを例えてみました。
部屋の状況がわからないのに(認識できない)掃除機をかけようとしても逆効果になるでしょう。

まず自分の置かれている状況に向き合わずに「頑張らないといけない」というのは逆効果です。

人それぞれの心の容量は違う

そもそもですが、「他人」と「あなた」は別の人です。
その人それぞれの物事の許容能力は環境や生まれ育った状況によって違いがあります。

「あの人の方が辛い」というのは、「(私があの人の状況だと辛いに決まっているんだから)あの人の方が辛い」という、フィルターを通してみた辛さになります。

よくこの話をするときリュックに例えることがあります。
人の心の許容量というのは、リュックみたいなもので人それぞれ容量が違います。
30Lくらいの人もいれば、60Lの人もいます。もちろん10Lの人もいます。
その容量は、差はあるけれど「多いから偉い」「少ないから下だ」ということはなく、偶然その容量になっただけです。

例えば20Lの物事が起きるとしましょう。
60Lの人はまだまだ問題ないと思います。たいしたことじゃないと言うでしょう。
30Lの人はどうでしょう。容量は少しだけ余っていますが、同じような物事が起きた時にパンクしてしまいます。
10Lの人は、いっぱいいっぱいです。5Lずつ消化したり、溢れた分は無視したり、様々な方法で乗り切るでしょう。

ここで良くないのが自分は15Lのリュックを持っているのに、「自分は60Lのリュックを持っているぞ!」と思うことです。
これでは、すでに容量がパンクしているのに関わらず、荷物を詰め込み、詰め込み。
すると、リュックの重さに耐えられなくて潰れてしまうでしょう。
または、一歩も足をうごかせなかったり、「大丈夫大丈夫」といいつつ、足は骨折している。

何が言いたいかと言うと、人それぞれ心の許容量が違うのだから「あの人の方が辛いのだから自分はまだ大丈夫」という比較はあまり役に立たないと思います。

辛さに上も下も無い

「自分より辛い人がいる」という言葉には少しの優越感が含まれています。
自分より辛い人がいる、あの人の方が辛い、自分の方がマシ、だから頑張らないと。

ハンディキャップがある人をみて、「ああ、あの人よりはマシだ、だから頑張らないと」と思うでしょうか?
仮にそう思っている人が近くにいるとどう思いますか?

辛いことや悲しいことは比較するのが難しいです。
そもそもですが「辛さ」というのは他人と比べる必要が全くありません。
「その痛みは自分自身のものだから、自分が辛いと思うことは辛い」というものです。

心の許容量はそのうち増える。今は苦しいと言ってもいい

過去の自分を考えて思うことがあります。
「なぜ今なら大したことじゃ無いのに、なぜあんなに苦しく感じていたのだろうか」。

今ならそう思えますが、あの時はとても辛かったんです。
なぜなら、あの時は心の容量が少なくていっぱいいっぱいだったから。

そう振り返るくらいには心の容量は増えたと思います。
少しのことでもご飯を食べれば多少なりとも復活したり、土曜日まで頑張れば休めるぞ!と思い乗り切れるようになります。

ちなみにですが、「自分より辛い人がいる」と思ってしまう人は真面目です。
真面目なので「自分より辛い人がいる」ということで逃げ道、逃げるという選択を減らしています。

しかし逃げるということは負けでもないし悪いことでもありません。「戦略的撤退」です。
戦わなくてもいい時に戦う必要はありません。
自分が崩壊する前に「戦略的撤退」したっていいんです。

まずは自分を大事にしてあげましょう。

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